2015年10月29日
UNU‒IASポリシーブリーフ第1号では、2011年3月の東日本大震災と福島第一原発事故後の被災地の例をもとに、長期化する避難状況の解決策を模索する上での法的・制度的枠組みの重要性が取り上げられましたが、この度、同執筆者のモシニャガ アンナ研究員(UNU‒IAS リサーチアソシエイト)によるポリシーブリーフ第2号が発表されました。
本ポリシーブリーフ「災害後の生活再建:福島の原発避難者を事例に」は、 原発事故で被災した自治体の関係者や、福島県内外で暮らす避難者、各地で活動する避難者支援団体などへの聞き取り調査をもとに、原発事故が生み出したさま ざまな状況にある避難者が、生活を立て直して社会に統合される過程で直面している課題を分析しています。さらに、初期対応から復興への過渡期において、原 発避難者が生計を立て直して新しい生活の環境を整えるために必要なこととして、避難者やその受け入れコミュニティを取り巻く状況を徹底的に分析し、その分 析に基づいた政策を策定することと、その政策を柔軟に応用することを提言しています。
要旨
災害によって避難を余儀なくされた人々の生活再建は、生計手段を立て直しながら新しい環境に適応するという二重の困難を伴う。福島の原発避難者は、 生活状況が次第に多様化する初期対応から復興への過渡期において、こうした困難に直面している。避難者が今後の生活をどこで立て直すことにしようとも、そ れを可能にする的確な政策が求められる。
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本ポリシーブリーフは、2011年3月11日に発生した東日本大震災と津波、原発事故が人々と社会に与えた影響に着目する取り組みである、国連大学サステイナビリティ高等研究所のFUKUSHIMAグローバルコミュニケーション(FGC)事業のために実施された調査の成果です。