ジェリー・トーマス教授、原発事故の健康影響に関する誤った理解を指摘

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  • 2014年10月17日

    Photo: C. Christophersen / UNU

    Photo: C. Christophersen / UNU

    2014年10月15日の公開セミナーで、インペリアル・カレッジ・ロンドンのジェリー・トーマス教授(分子病理学)は、放射線リスクに関して誤った考えが広まっていること、また線量と放射線被曝に影響を与えうる要因が種々あることを明らかにしました。このセミナーは、FUKUSHIMAグローバル広報事業(FGC)プログラムの一環として、国連大学サステイナビリティ高等研究所(UNU-IAS)と英国大使館(東京)が共催しました。

    トーマス教授は講演で、放射線リスクの測定と、放射線リスクに対処するために取ることのできる効果的なコミュニケーションと行動について、幅広い問題を取り上げました。教授は、各種放射線(自然放射線など)のほか、さまざまな核種に由来する内部被曝および外部被曝につながる要因をはっきりと区別する重要性を強調しました。

    博士の講演で重点が置かれたのは、チェルノブイリ原発事故と1960年代の原爆実験からこれまでに得られたデータを活用して、福島原発事故の潜在的リスクを考察することでした。博士は、原子放射線の影響に関する国連科学委員会(UNSCEAR)と世界保健機関による最近の報告書を複数引用して、放射線に直接起因する健康への悪影響はわずかだが、不安をあおるようなマスコミ報道や避難が原因の精神的ストレスに関連する健康への悪影響はかなり大きいと考えられると主張しました。

    国連大学上級副学長である武内和彦教授が開会の挨拶を行いました。武内副学長は、放射線リスクを理解し、それらをわかりやすく伝える際にどのような問題があるのかを概説しました。また、クリストファー・ホブソンUNU-IAS客員リサーチ・フェローが、セミナーの議長を務めました。

    セミナー「原発事故による健康リスクをどう伝えるか:ジェリー・トーマス教授をお迎えして」の音声ファイル